7月の少し寂れた田舎のバス停の陰で 1学期の終わりを迎えた男女が ありったけの汗をかいて済ませた 初体験のせいで、 フェラチオをされる度にあの淡い夏を 思い出してしまうとしても 蝉の短い命が尽きるまでには射精をしろ。

初体験はいつだって強烈だ。

 

(初体験がまだだよ、って人はブログを書こう)

 

そして、一瞬で過ぎ去る夏もまた、

忘れられない。

 

 

 

 檻のない牢獄の様な田舎で、

来年"とうきょうのだいがく"へ行く彼女だけが

輝いていた。

 

好きだった。

 

雨季を忘れたかのように熱帯びた街を君と、

アイスを片手にバスを待っている。

蝉の声は壁のような圧で僕らを閉じ込める。

都内も東京も本当は無くて、

この街が世界の全てなんだって気すらした。

 

「私さ、東京の大学、行きたいんだよね。」

 

「、、うん、噂で聞いた。

だから俺も目指す事にしたよ、東京。」

 

「え、そうなの?!なんで!?」

 

「、、、好きだから。君が好きだから。」

 

—この街が世界の全てで、

世界の全てよりも君だった—

 

「、、、あのさ、いいや、なんでもない。

2人とも東京に行けたらさ、その時また、

君の口から私に聞かせて、。」

 

「、、うん、わかった、行こう、東京。」

 

馴れ親しんだ二人は、

初めて馴れないキスをした。

 

夏休み前の浮ついた気持ちか、

或いは夏バテか、2人は夕立や雷鳴の如く

衝動的で超自然的に、身体を交えた。

 

 

 

確か、その年の夏も

線香花火みたいに呆気なく終わって、

そこからは勉強浸けの日々が続いて、

君は他に好きな人が出来たんだっけな。

隣の市の大学を出た僕は

東京の会社に就職をして、

今は別部署の後輩と付き合っている。

 

「君は季節じゃないから好きだ。」

 

「酔うといつも言いますよね、それ。

なんなんですか、ほら、帰りますよ〜」

 

"世界の全て"を理解できていなかった僕は

今、隣で違う誰かと季節を忘れていく。

 

君は何処から来て何処に消えていくんだろう。

 

 

「こんな時間でもまだ蝉って鳴くんですね〜」