手乗りワサビの育て方③

今まで生き物らしい生き物を飼育した
経験がなく、以前軽く記載した金魚は
3匹いたのだが2匹が病気で亡くなり、
その孤独や恐怖に耐えられないとでも
言うように水槽の清掃中に水道管に飛び込み
自決してしまった、という悲しい思い出のみが
私の記憶を支配してしまっている。

話は逸れたがつまり、生き物に対し
どのように躾けをしたら良いのか、が
分からないのである。これは誠に遺憾である。
ところで、政治家や何かしらの責任者は
事あることに"誠に遺憾である"と言っている
印象があるが、他に何も述べようとする様子を
見せない事が何よりの遺憾である、という
今世紀最大級の皮肉に苦笑を禁じ得ない。
また話が逸れた。
ふと、こうして話を逸らし本題から
目を背けていることに気がついた。
ウラジミールを手に乗るように
しなくてはならない。最初の頃の
衝動、使命感を思い起こす。

そこからの日々はただひたすらに
向き合った。食事や睡眠を共にし
お互いの事を出来る限り分かり合えるように
努力をした。その甲斐あってか
時々手に乗る,或いは近づいてくれるように
なった。その度に好物のエサを与えたり
する事によって刷り込みをしていくのである。
完全に手に乗ったら、彼には
外の世界を見て、他のワサビと触れ合い、
ただひたすらに生きて欲しい、と
そう感じた。

これが愛。

紛れもなく、これが愛なのだ。

次回に続く。